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機嫌のいい人が、なぜあんなに美しく見えるのか

機嫌のいい人が、なぜあんなに美しく見えるのか

職場に、いつも機嫌のいい先輩がいる。

飛び抜けて華やかな人ではない。でも、その人がいると、なんとなく、そのあたりの空気がやわらかくなる。話しかけやすくて、一緒にいると、こちらまで肩の力が抜ける。ある日、ふと思った。「この人、なんか、きれいだな」。顔立ちがどうこうではなく、全体から漂う感じが、美しいのだ。

反対に、いつも不機嫌そうな人のことも、思い浮かぶ。どんなに顔が整っていても、眉間にしわを寄せて、ため息をついている人には、近づきがたい。美しい、とは、なかなか思えない。

機嫌のいい人は、美しく見える。これは、ほとんどの人が、感覚として知っている。でも、なぜだろう。機嫌と美しさに、いったい、どんな関係があるのだろう。


機嫌は、その人が纏う空気そのものだ

答えは、実はとてもシンプルだ。機嫌とは、その人が纏っている空気そのものだからだ。

私たちが「美しい」と感じる、あの纏う空気。それは、目に見えない何かではなく、かなりの部分が、その人の「機嫌」でできている。機嫌のいい人のまわりには、やわらかく、開かれた空気が流れる。表情がほどけ、声のトーンが穏やかで、動きに余裕がある。その空気に触れると、こちらも心地よくなる。美しさが「纏う空気」だとすれば、機嫌は、その空気の、いちばん大きな成分なのだ。

逆に、不機嫌な人のまわりには、張りつめた、閉じた空気が漂う。近づくと、こちらまで緊張する。だから、造作がどれだけ整っていても、その空気の硬さが、美しさを打ち消してしまう。

考えてみれば、当然のことだ。人は、顔のパーツを一つひとつ採点して「美しい」と判断しているわけではない。その人の全体から漂う感じ——つまり空気を、まるごと受け取っている。そして、その空気の質を、いちばん左右しているのが、機嫌なのだ。

しかも、機嫌には、まわりに伝染する力がある。機嫌のいい人のそばにいると、こちらの気分まで、少し軽くなる。逆に、不機嫌な人が一人いるだけで、その場の空気が、重くなる。だから、機嫌のいい人は、ただ美しく見えるだけでなく、「一緒にいると心地いい人」として、記憶に残る。その心地よさが、あとから「あの人、きれいだったな」という印象に、変わっていく。

美しさは、その人の中だけで完結するものではない。まわりに、どんな空気を分けているか。機嫌のいい人が、いつまでも美しく思い出されるのは、その人が、まわりに心地よさを、静かに配っていたからだ。


機嫌を「とってもらう」人と、「育てる」人

ここで、大事な区別がある。機嫌には、二つの持ち方がある。「とってもらう」機嫌と、「育てる」機嫌だ。

多くの人は、機嫌を、誰かにとってもらうものだと思っている。恋人が優しくしてくれたら、機嫌がいい。仕事がうまくいったら、機嫌がいい。天気がよくて、いいことがあったら、機嫌がいい。つまり、機嫌の電源が、いつも自分の外側にある。外で何かいいことが起きるのを待って、それが起きたら、機嫌がよくなる。この持ち方だと、自分の機嫌の主導権を、いつも他人や状況に、預けっぱなしになる。

だから、相手が冷たいと、途端に機嫌が崩れる。予定が狂うと、一日じゅう不機嫌になる。自分の空気の質が、そのときどきの外の出来事に、振り回される。これは、しんどい生き方だ。自分の機嫌なのに、そのハンドルを、自分で握れていない。

一方で、機嫌を「育てる」人は、電源を、自分の内側に持っている。誰かに機嫌をとってもらうのを待つのではなく、自分で、自分の機嫌を上向きにする方法を、いくつか知っている。この違いは、大きい。PRIELLEが繰り返し伝えてきた「自分の機嫌は、自分でとる」というのは、まさにこのことだ。機嫌の主導権を、他人から、自分の手に取り戻す。


機嫌は、天気ではなく、庭だ

「でも、機嫌なんて、勝手に上下するものでしょう」と思うかもしれない。確かに、機嫌は、天気のように、自分では変えられない部分もある。生理前や、疲れているとき、無理に晴れさせることはできない。

でも、機嫌には、天気とは違うところがある。機嫌は、天気というより、庭に近い。放っておけば荒れるが、日々、少し手をかければ、育てられる。好きな飲み物を、丁寧に淹れる。眠る前に、スマホを置いて、少しだけ早く布団に入る。朝、好きな音楽をかける。散らかった机を、一箇所だけ片づける。——こうした、ごく小さな手入れが、機嫌という庭を、少しずつ整えていく。

大きなことは、いらない。旅行に行かなくても、恋人がいなくても、機嫌は育てられる。むしろ、日常の中の、名前もつかないような小さな手入れの積み重ねが、その人の機嫌の土壌を、豊かにする。そして、その土壌の豊かさが、纏う空気の、やわらかさになる。

機嫌のいいあの先輩も、たぶん、生まれつき機嫌がいいわけではない。自分の庭に、こつこつと手をかけているのだ。だから、いつ会っても、その空気が、心地よく整っている。


機嫌のいい自分は、まず自分への贈り物

ここで、ひとつ、気をつけたいことがある。「機嫌よくいれば美しく見える」と聞いて、「じゃあ、機嫌よくしていなきゃ」と、義務にしないでほしい。

不機嫌な日は、あっていい。落ち込む夜も、イライラする朝も、あっていい。それを無理に押し隠して、いつも機嫌よく振る舞おうとするのは、また別の、しんどい足し算だ。人前で笑顔を作る話でも、感情を偽る話でもない。機嫌を育てるのは、人によく見られるためではなく、まず、自分が心地よくいるためだ。

考えてみてほしい。あなたの機嫌に、いちばん長く付き合うのは、あなた自身だ。不機嫌な一日を過ごして、いちばん損をするのは、あなただ。だから、機嫌を育てるのは、他人のためではなく、自分への、いちばん近い贈り物になる。そして、自分のために整えた機嫌が、結果として、外に滲み、美しさとして、まわりに届く。順番は、いつもこうだ。自分のためが先で、美しく見えるのは、あとからついてくる。

だから、機嫌よくあろうとしなくていい。ただ、自分の庭に、たまに水をやる。それだけで、十分だ。


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今日、あなたの機嫌を、ほんの少し上向きにするものは、何だろう。

それは、たぶん、大きなことではない。温かい飲み物かもしれない。5分早く始める、朝の支度かもしれない。好きな香りや、好きな曲かもしれない。自分の機嫌が、どんな小さなことで上向くのか。それを一つ、知っておくこと。それが、機嫌を「育てる」ことの、はじまりだ。

そして、不機嫌な日には、無理に晴らそうとしなくていい。「今日は、荒れ模様だな」と、庭を眺めるように、自分の機嫌を、少し離れて見てみる。責めずに、ただ、見る。それだけでも、機嫌に飲み込まれずに、済む。

機嫌の電源を、自分の手に取り戻した人は、誰かの機嫌に、振り回されなくなる。その静かな自立が、その人の空気を、やわらかく、美しくする。

あなたの機嫌のハンドルは今、あなたの手にあるだろうか。それとも、誰かに、預けたままになっているだろうか。

PRIELLE編集部

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