部屋着のまま一日を過ごさないと決めた
土曜日の午後3時。
パジャマ代わりのTシャツとスウェットのまま、ソファでスマホを見ている。 洗濯物は回したけれど干していない。
朝食はカップスープだけ。
シャワーもまだ浴びていない。
予定がない日は、だいたいこうなる。
誰にも会わないから、着替える必要がない。外に出ないから、メイクもしない。見ている人がいないから、どんな格好でもいい。
——でも、見ている人が一人だけいる。自分だ。
✦ ✦ ✦
「誰にも会わないから着替えない」を裏返すと、こうなる。
「誰かに会うときだけ、自分を整える価値がある」
つまり、自分のためだけに整える価値はない、と言っていることになる。
これは部屋着の話に見えて、部屋着の話ではない。自分を誰のために整えているのかの話だ。
他人に見られるから整える。
上司に会うから整える。
彼に会うから整える。
——全部、基準が外にある。自分一人のときに何もしないということは、自分だけでは整える動機にならないということだ。
それはつまり、「自分は自分のためにきれいでいる価値がない」と、毎週末、自分に伝えているのと同じだ。
✦ ✦ ✦
「部屋着のまま一日を過ごさない」と決めたとき、別に意識が高くなったわけではなかった。
ただ、朝起きて顔を洗ったあと、パジャマを脱いで、部屋着ではない服に着替えた。外出着である必要はない。ただ、「寝ていたままの自分」から「今日を始めた自分」に切り替わる服。
それだけで、一日の動き方が変わった。
不思議なもので、着替えると何かをしたくなる。
コーヒーを丁寧に淹れてみようか。
部屋を少し片付けようか。
買い物に出てみようか。
パジャマのままでは起きなかった動機が、着替えた瞬間に生まれる。
着るものを変えただけで、自分のスイッチが入る。
✦ ✦ ✦
毎日完璧に着替えろとは言わない。疲れた日にパジャマのまま過ごすのも大事な休息だ。
でも、一つだけ試してみてほしい。
次の休日の朝、顔を洗ったあとに、一枚だけ着替える。トップスだけでいい。寝ていたTシャツを脱いで、お気に入りの一枚に袖を通す。
その一枚は、誰のためでもない。自分のための一枚だ。
「誰にも会わない日でも、私は自分のために着替える」
その小さな宣言が、一日の自分への扱い方を変えてくれる。
——着替えた自分を鏡で見たとき、ほんの少しだけ「今日の自分、悪くない」と思えたら、もうそれだけで十分だ。
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