小さな「できた」を数えるようになった
今日、何ができただろう。
仕事で大きなプロジェクトを成功させたわけではない。上司に褒められたわけでもない。新しいスキルを身につけたわけでもない。
「何もできなかった」
ずっと、そう思って一日を終えていた。
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「できた」の基準が高すぎたのだと、あるとき気づいた。
「できた」として認めているのは、目に見える成果だけだった。数字が上がった。褒められた。何かを完了させた。——そういう「証拠」がないと、「できた」にカウントしない。
でもその基準で測ると、ほとんどの日は「何もできなかった日」になる。成果が出る日なんて、月に数回あればいい方だ。
つまり、一ヶ月のうち二十数日は「何もできなかった日」。自分に対する評価が上がるわけがない。
✦ ✦ ✦
試しに、「できた」の基準を下げてみた。
朝起きた。できた。
顔を洗った。できた。
ベッドを整えた。できた。
コーヒーを淹れた。できた。
電車に乗った。できた。
仕事を始めた。できた。
ばかばかしいと思うかもしれない。こんなことを「できた」に数えていいのかと。
でも考えてみてほしい。朝起きるのだって、本当は当たり前ではない。布団から出たくない朝もある。仕事に行きたくない日もある。それでも起きて、顔を洗って、家を出た。それは立派に「できた」ことだ。
基準を下げると、一日に「できた」が二十も三十も見つかる。「何もできなかった日」が「たくさんできた日」に変わる。事実は何も変わっていない。変わったのは、数え方だけだ。
✦ ✦ ✦
小さな「できた」を数える習慣が、自己肯定感と何の関係があるのか。
自己肯定感の土台は、「自分はやれる」という実感の蓄積だ。
大きな成功だけを「やれた」にカウントしていると、実感が蓄積されない。でも小さな「できた」を毎日拾い上げていくと、「私は毎日たくさんのことをやっている」という認識が育っていく。
この認識が、少しずつ自分への信頼を作る。
「できた」を数えることは、自分への感謝でもある。今日一日、自分の身体は動いてくれた。頭は働いてくれた。心は持ちこたえてくれた。それに「ありがとう」を言う代わりに、「できた」とカウントする。
✦ ✦ ✦
今夜、寝る前に一つだけやってみてほしい。
今日の「できた」を、三つだけ数える。
大きなことでなくていい。
「朝ちゃんと起きた」
「お昼ごはんを食べた」
「家に帰ってきた」。
それで三つだ。
ばかばかしいと思っても、心の中で三つ数える。
一週間続けたとき、「何もできなかった」が口癖だった自分が、少しだけ変わっているはずだ。
——毎日何かを「できている」自分は、思っていたより頑張っている。
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