「ごめんね」を「ありがとう」に変えてみた
「ごめんね、待たせて」「ごめんね、忙しいのに」「ごめんね、こんなこと頼んで」
一日に何回「ごめんね」と言っているか、数えたことがある。驚くほど多かった。
待ち合わせに1分遅れて「ごめんね」。
仕事を手伝ってもらって「ごめんね」。
話を聞いてもらって「ごめんね」。
相手が何かしてくれるたびに、最初に出てくるのは感謝ではなく謝罪だった。
ある日、友達に言われた。「なんでそんなに謝るの?」
答えられなかった。
✦ ✦ ✦
「ごめんね」が先に出る人は、相手に何かをしてもらうことを「迷惑をかけている」と捉えている。
待ってもらった=迷惑をかけた。
手伝ってもらった=負担をかけた。
話を聞いてもらった=時間を奪った。
その裏にある前提は、「私のために時間を使ってもらう価値が、私にはない」ということだ。
だから、何かしてもらうたびに申し訳なくなる。自分のせいで相手に負担をかけた、と感じる。「ごめんね」は謝罪ではなく、自分の存在を申し訳なく思う気持ちの表れだ。
✦ ✦ ✦
試しに、「ごめんね」を「ありがとう」に置き換えてみた。
「ごめんね、待たせて」→「待っててくれて、ありがとう」。
「ごめんね、忙しいのに」→「時間を作ってくれて、ありがとう」。
「ごめんね、こんなこと頼んで」→「引き受けてくれて、ありがとう」。
言っている内容は同じだ。でも、自分の立ち位置がまるで違う。
「ごめんね」を言うとき、自分は「迷惑をかけた側」に立っている。相手より一段低い場所にいる。
でも「ありがとう」を言うとき、自分は「受け取った側」に立っている。対等な場所にいる。
たった一言の違い。でもその一言が、自分と相手の関係の構図を変えてしまう。
✦ ✦ ✦
「ありがとう」に変えると、もう一つ変化が起きる。
相手の表情が変わる。
「ごめんね」と言われた相手は、「いいよ、気にしないで」と返す。でも「ありがとう」と言われた相手は、少し嬉しそうな顔をする。
謝られるよりも、感謝される方が、人は嬉しい。当たり前のことだけれど、「ごめんね」が癖になっていると、この当たり前を忘れてしまう。
あなたの「ありがとう」は、相手を喜ばせる力がある。「ごめんね」でその力を自分から手放す必要はない。
✦ ✦ ✦
今日から全部を変える必要はない。
一つだけ。次に「ごめんね」と言いそうになったとき、一呼吸置いて「ありがとう」に変えてみてほしい。
最初は違和感があるかもしれない。でもその違和感は、自分の立ち位置が変わった証拠だ。
「ごめんね」を手放すたびに、自分を一段低い場所に置く癖が、少しずつ外れていく。
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