自分の家を、ちょっと整えてみたくなった
部屋は、最低限きれいにしていた。
物は散らかっていない。掃除も、最低限はする。でも、それは「人を呼んでも恥ずかしくない」レベルであって、「自分が心地いい」レベルではなかった。インテリアにこだわるわけでもなく、家具は無印とニトリ。「住める」状態で、何年もそのままだった。
ある日、休日に何もせずに過ごしていて、部屋を見渡したときに、ふと思った。
「私、この部屋で、毎日何時間も過ごしてるのに、ぜんぜん気に入ってないな」。
その日から、少しずつ、部屋に手をかけ始めた。お気に入りのフレグランスを置く。間接照明を一つ追加する。ラグを、もう少し好きな色のものに変える。一気にじゃなく、少しずつ。
ある夜、間接照明をつけて、お気に入りの香りが漂う部屋で、ソファに座ったとき、初めて思った。
「ここ、好きだな」。
あなたの部屋は、あなたの居場所か
毎日、家に帰る部屋を、あなたは「居場所」だと思えているだろうか。
帰宅して、ドアを開けて、ほっとする。「ただいま」と心の中で言いたくなる。そういう場所だろうか。それとも、ただ寝るために帰ってくるだけの、入れ物だろうか。
多くの人は、後者だ。自分の家なのに、自分の居場所として育てていない。最低限きれいにしているけれど、自分が心地いいかどうかで作っていない。「いつか引っ越したら」「いつか結婚したら」と、本気で整えるのを先延ばしにしている。
でも、考えてみてほしい。あなたが今、いちばん長く過ごしているのは、その部屋だ。仕事の時間以外で、いちばん多くの時間を過ごす場所。それを「とりあえず住める状態」で放置することは、自分の人生の3分の1を、雑に扱っているのと同じことだ。
「いつかちゃんとする」と思っているうちに、何年も経っている。その「いつか」は、たぶん、自分から作りに行かない限り、来ない。今住んでいる部屋を、今、自分のために整える。それしかない。
一気にやらなくていい。一つから
部屋を整えると聞くと、大掃除や模様替えのような、大きな労力を想像してしまう。だから、なかなか始められない。
でも、必要なのは、一気の変化じゃない。一つだけ、「これがあると嬉しい」を、部屋に置いてみること。
お気に入りの香りのフレグランス。柔らかい光の間接照明。好きな色のクッションカバー。小さな観葉植物。たった一つでいい。それを置くことで、部屋の中に「自分の好き」が、一つ生まれる。
そして、その一つを毎日見るたびに、小さな満足が積み重なる。「これ、好きだな」と思える瞬間が、家の中に一つ、増える。
すると、不思議なことに、その一つだけでは物足りなくなってくる。「ここにも、何か好きなものを置きたいな」と、自然に思うようになる。一気にやらなくても、ゆっくり、部屋に「自分の好き」が増えていく。
これは、部屋を整えることであると同時に、自分の生活の解像度を上げていくことでもある。「住める」レベルから、「心地いい」レベルへ。雑な暮らしから、自分を満たす暮らしへ。一つずつ、丁寧に。
✦ ✦ ✦
今住んでいる部屋を、見渡してみてほしい。
「ここ、好きだな」と思える場所は、どれくらいあるだろうか。
もし、ほとんどないなら。
まず一つだけ、「これがあると嬉しい」を、部屋に置いてみる。
フレグランス、間接照明、好きな絵、観葉植物、お気に入りのカップ。値段は関係ない。自分が「これがあると嬉しい」と思えるものを、一つ。
そして、それを毎日、目に入る場所に置く。視界に入るたびに、小さな満足を、感じてみる。
部屋は、ただの住む場所じゃない。あなたが、毎日いちばん長く一緒にいる空間だ。その空間が「好きだな」と思えるものになったとき、家に帰ることが、ご褒美の時間に変わる。
自分のための場所を作れる人は、自分のための人生も作れる人だ。
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