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駅で一駅分、歩いてみた帰り道

駅で一駅分、歩いてみた帰り道

仕事帰り、いつもの駅ではない駅で降りた。

電車のドアが開いて、閉まって、また走り出す。窓の外を流れる夜の街を見ながら、「一駅手前で降りてみようかな」と思った。理由はない。ただ、まっすぐ家に帰る気分じゃなかっただけだ。

一つ手前の駅で降りて、地図アプリも見ずに、なんとなく家の方向に歩き出した。知らない道。見たことのない店。誰かの家の窓から漏れる灯り。

20分ほど歩いて、家に着いたとき、思っていたより息が弾んでいた。でも、嫌な疲れじゃなかった。頭の中にずっと居座っていた仕事のもやもやが、歩いているうちに、少しだけ薄まっていた。

「運動した」というより、「散歩した」に近い。でも、その夜のごはんは、いつもより少しおいしかった。


「運動しなきゃ」が、あなたを運動から遠ざけている

運動が苦手な人ほど、「運動」という言葉に身構える。

ジムに行かなきゃ。ランニングを始めなきゃ。筋トレをしなきゃ。「運動」と聞いた瞬間に、つらいもの、続かないもの、自分には無理なものというイメージが立ち上がる。だから、運動から逃げる。

でも、考えてみてほしい。一駅分歩くことは、運動だろうか。

たしかに体は動いている。カロリーも消費している。でも、あなたが歩いていたとき、頭の中にあったのは「痩せなきゃ」でも「ノルマをこなさなきゃ」でもなかった。ただ、夜の街を眺めながら、家に向かって歩いていただけだ。

そこには、「運動」という言葉が背負わせてくる重さが、まったくなかった。だから歩けた。だから心地よかった

運動が続かないのは、あなたが怠けものだからじゃない。「運動」という言葉を、いつも「義務」や「苦行」とセットで考えてしまうからだ。その言葉を一度手放して、「ただ歩く」に変えるだけで、体を動かすことは、こんなにも軽くなる。


歩いている間、あなたは自分に戻っている

一日のうち、あなたが本当に「一人」になれる時間は、どれくらいあるだろうか。

仕事中は、ずっと誰かと関わっている。家に帰れば、スマホの中の誰かと繋がっている。SNSを開けば、他人の生活が流れ込んでくる。あなたの頭の中は、いつも誰かでいっぱいだ。

歩いている20分は、その流れが、ふっと止まる時間だ。

スマホをポケットにしまって、ただ足を動かしていると、頭の中のおしゃべりが、だんだん静かになっていく。仕事のこと、誰かのこと、将来の不安。それらが、歩くリズムに合わせて、少しずつほどけていく。

これは、体を動かす時間であると同時に、頭を整理して、自分の感覚に戻る時間でもある。歩き終わったあと、もやもやが薄まっていたのは、体を動かしたからだけじゃない。誰にも邪魔されずに、自分とだけ向き合う時間が持てたからだ。

体を動かすことと、心を整えることは、つながっている。一駅分歩くだけで、その両方が、少しずつ満たされていく。


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明日の帰り道、もし少しだけ余力があったら。

いつもの駅の、一つ手前で降りてみる。

地図は見なくていい。なんとなく、家の方向に歩いてみる。途中で疲れたら、コンビニで温かい飲み物を買ってもいい。気が向いたら、知らない道を曲がってみてもいい。

歩きながら、頭の中のおしゃべりが静かになっていくのを、ただ感じてみる。

それは「運動」じゃない。あなたが、あなたに戻るための、20分の散歩だ。痩せるためじゃなく、頭を空っぽにして、自分の足で家に帰る。その心地よさを、一度だけ味わってみてほしい。

PRIELLE編集部

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